第5回 時をかけるアラフォー! メソポタミア文明滅亡の謎を追え!!
林檎「こんにちは。木下林檎です」
林檎「今日はわたしがブログを担当するのだけど・・・もう一人がまだ来ていません」
林檎「いったい、誰が来るのかしら・・・?」
ザッ ザッ ザッ
?「・・・」
林檎「ッ!? あ、あなたは・・・!?」
?「・・・」
林檎「だれ!? いったいだれなのっ!?」
?「・・・」グォォォ・・・
林檎「な・・・なに!? これは――っ!?」
?「アラフォーディメンション!!」
林檎「きゃぁぁぁ――――ッ!!」
・
・
・
・
・
・
林檎「・・・うぅ・・・い、いったい何が・・・?」
?「木下さ~ん。だいじょうぶ~?」
林檎「!? あ、あなたは・・・あなたはわたしの担任・・・ベッキー先生!!」
40「そうだよ~! でゅへへへ~~♪ びっくりしたー?」
林檎「ベ・・・ベッキー先生、なぜあなたがここに・・・? ここはいったいどこなの・・・?」
40「メソポタミアだよ~」
林檎「メソ・・・え?」
40「いまわたしたちがいるのはー、紀元前2500年くらいのメソポタミアなんだよ~」
林檎「な、なんですって――――ッ!?」
40「先生の放ったアラフォーディメンションによって、木下さんは異次元に飛ばされてしまいました。今わたしたちは異次元の空間に存在しつつ、紀元前2500年のメソポタミアを見ているんだよー」
林檎「え? 異次げ・・・え? ・・・どうして?」
40「どうしてもこうしても、女子は40歳まで処女だとその熟れた女子力によって時空を超えることができるようになるんだよ~。常識だよ~」
林檎「そ、そんなことが・・・!?」
40「時をかける処女」(キリッ)
林檎「・・・」(イラッ)
40「そんなわけで今日はここ古代メソポタミアから、どうしてこの文明が滅んでしまったのかを探りたいと思いま~す☆」
『古代メソポタミア文明って?』
林檎「メソポタミア文明の・・・滅、亡?」
40「そうだよ~。このメソポタミア文明は紀元前9000年くらいに始まった人類最古の文明なんだけど、シュメール人っていう人たちが作ったのね~? ここはそのシュメール人さんの作った都市で『ウル』っていいます。今でいうイラクにある都市です。知ってる~?」
林檎「聞いたことはありますけど・・・」
40「そんで、ここはウルの繁華街で~す。メソポタミアの原宿みたいなところで~す。いっぱい人がいるよね~」
林檎「そうですね」
40「シュメール人さんを見て、何かわかることはなぁい?」
/彡イイノ彡三ニ-、_
/彡彡ノノ彡彡彡トミミミミ、
ィ=〒 ニ!ニニニニニー-、ト,
|J|U |(_) |( _) |(__) |(⌒)fヘif|
ァ┬┬┬ァ─--ニニー─-={
/i|lリミi|l|彡 ──--、  ̄二_T
ノノiイ⌒|lf ニエエヽ ` 左=、/
(((《j!{ 片jj、 '. | | 超うめー
{从iト、nj|l|li, i ! ノ
`ヘl|j {fjl|l|li|i _彡ニく イ
_7∩{|l|li|ト, '"-=辷ヾ、 l!_
, 一i{ ヘ {lj|li|l|lト, ,ililili \ヽ>、二二ヽ
,-‐': : : : ヘヘ \ ヾj|l|l|l|l|l|lj卅|l从il(×r´ ̄⌒ ̄ヽ
: : : : : : : :ヘヘ 、 \ ヾill|l|lj|l|l|l|llir'´〉、 ̄ア⌒ ̄ }
: : : : : : : : : ヘ }ト、 ̄`ー-----イイ ∧(_ヌ ̄` )-、
: : : : : : : : : : :X: }i∧又ー─一ヌ∧{: :へゝ┬ゞ 人: : \
※通りすがりのシュメール人男性
林檎「まず、男の人は髭が生えていますね。それに、何かの肉を食べているけど・・・あれは何の肉なのかしら?」
40「・・・子供・・・」(ボソッ)
林檎「え?」
40「あれは羊の子供の肉だよ~☆」
林檎「羊・・・そういえば、着ている服もウールっぽいわね」
40「そうそう。つまりメソポタミア文明では、すでに羊を家畜として利用する方法が確立していたっていうことだよね~」
林檎「畜産が行われていたということですか?」
40「そうだね~。羊だけじゃなくって、ヤギさんや牛さんも育てていたんだよ~。お肉だけじゃなくってミルクも飲んでたんだね~」
林檎「そこまで進んでいたなんて・・・」
40「ところで木下さん、畜産をするうえで必要なモノって何だと思う~?」
林檎「動物と・・・餌、ですか?」
40「すご~い! 大正解だよ~! このあたりはもともと雨が降らない所だから、草もあんまり生えないんだよね~。だから放し飼いにするだけじゃ家畜は育たなくて、ちゃんと餌を作ってあげなくっちゃいけません。その餌が何だか、わかる~?」
林檎「家畜の餌・・・牧草? とか?」
40「そうそう。でも、それだけじゃないんだよ~」
林檎「?」
40「あそこにヒントがあります」
. | |
\|\| |/|/
|~\. | | /~/|
ヾヾヽ、_|_|_/ //. ┼╂┼
\/ \/ ∩_┃_∩
/ ● ●\ | ノ ヽ
| | / ● ● |
\ \ // | ( _●_) ミ
/ \_●/ 彡、 |∪|
/ \ / ヽノ \
|. || ̄ ̄||ヽ. || ̄ ̄||ヽ
|. | ||'゚。 o ||__). | ||'゚。 o ||__)
||_。_0_;||. ||_。_0_;||
|___.. |___.
※仕事上がりのシュメール人の皆さん
林檎「あれは・・・ビール?」
40「そうだよ~。メソポタミアの人たちはビールが大好きだったんだよ~。ちなみに先生も大好きで、毎朝飲んでから学校に行ってま~す☆」
林檎「あれがヒント・・・あっ!」
40「わかった~?」
林檎「麦、です・・・か?」
40「ぴんぽ~ん♪ メソポタミアは麦の大産地なんだよ~。だから牧草だけじゃなくって、麦も家畜の餌にできたんだよね~。麦畑を使って、畑作と一緒に畜産もする。これを混合農業(こんごう・のうぎょう)って言います」
林檎「家畜も畑で飼ってるんですか?」
40「そうだね~。そうすれば、牛を使って畑をどんどん耕せるし、動物のウンコが肥料になるでしょ~? 家畜を飼うスペースは休ませてる麦畑でいいし、牧草が足りなければ麦をあげればいいし、管理するにも便利だしで、とっても効率がいいんだよ~」
林檎「よくできてるんですね・・・」
40「それもこれも、メチャメチャ麦が採れるからなんだけどね~。1粒植えるとMAXで80粒くらいできたんだって~」
林檎「それって多いんですか?」
40「19世紀ヨーロッパだと5粒くらいで、現代のアメリカでも20粒くらいだからね~。パないよね~」
林檎「それは・・・パないですね。それだけ採れれば動物にあげようって気にもなるかも・・・」
40「このめがっさすごい麦の収穫量が、メソポタミア文明の原動力になったんだよ~」
林檎「メソポタミアの文明を支えているのは麦・・・つまり、畑作農業?」
40「そうなんだよ~! そしてその農業を支えているのが、灌漑(かんがい)っていう技術なんだよ~!」
林檎「かん・・・がい?」
40「知ってる?」
林檎「言葉は聞いたことがありますけど・・・水を引く技術? でした?」
40「じゃあ、実際に見に行ってみようか~。えーい☆」
・
・
・
・
林檎「えっ!? こ、ここはどこ? っていうか、今なにを・・・?」
40「テレポーテーションだよ~。心の翼で時空を跳んだんだよ~」
林檎「そんな芸当まで・・・」
『灌漑 ~破滅へのトリガー~』
40「ここはウル近郊の畑です。どう?」
林檎「すごいです・・・水路とかしっかり作ってあって、学校の農場と比べても、ぜんぜん劣ってない・・・」
40「このあたりはあんまり雨が降らないんだけど、遙かなるチグリス・ユーフラテス川の下流で、いっぱい洪水が起こるのね? 毎年ノアの大洪水なのね? そうやっていっぱい流れてきた水を溜池にためておいて、その水を水路を使って畑に分配するシステムが完成してるんだよね~」
林檎「それが灌漑ですか?」
40「か・ん・が・い☆」
林檎「・・・」(イラッ)
40「でも、この灌漑こそがメソポタミア文明を滅ぼしてしまったんだよ~」
林檎「え!? でも、この灌漑があるからこそ、メソポタミアは栄えているんでしょう? それがどうして滅亡の原因になるんですか?」
40「じゃあ、もうちょっと先の時代を見てみようか。えーい☆」
~ だいたい300年後 ~
40「どうかな~? これがさっきと同じ畑なんだけど~?」
林檎「こ、これは・・・土がカサカサにひび割れて、白い粉を吹いてるわ・・・・・・まるでベッキー先生の肌のように!!」
40「・・・・・・」
林檎「ああ・・・どうしてこんなことに・・・? この地肌に吹き出ている白いものは・・・?」
40「それは集積塩。つまりお塩だね~」
林檎「・・・塩?」
40「そう。これこそがメソポタミアを滅ぼしてしまった真の原因・・・大規模な灌漑によってもたらされた塩類集積。つまり『塩害』だよ~」
林檎「え? でも海の水を使ってるわけでもないのに、どうして塩が吹き出るんですか?」
40「灌漑をすることによって、地下から汲み上げられてくるんだよー」
林檎「さっぱり意味がわからないんですが・・・」
40「う~ん、先生も難しすぎて説明できる自信はないんだよね~。だから丸投げしちゃいます!」
林檎「え?」
40「下のサイトを見てください☆」
塩類集積について非常にわかりやすい説明をしてくれるサイト
鳥取大学乾燥地研究センターさま
『砂漠化の原因って?』
林檎「乾燥地研究センターなんてあるんだ・・・さすが鳥取・・・砂丘の国・・・」
40「どう? わかりやすいでしょ~?」
林檎「そうですね。要するに、灌漑によって畑に入れた水が、地下にある塩を含んだ水を地表まで吸い上げてしまうということですよね?」
40「そうだね~」
林檎「でも、どうして地下にある水を吸い上げることができるのかが、よくわからないんですけど。『毛細管現象』でそうなるって書いてありますけど、これはどういうものなんですか?」
40「この原理を説明することは、とっっっても難しいんだよ~。だから感覚として理解してほしいんだけど、身近な所で説明すると、植物が根っこから水を吸い上げる力もこの原理を使ってるんだね~」
林檎「・・・」
40「他にも、マジックペンのペン先とかね。要するに、繊維みたいに細い管を伝うことによって、重力に逆らうことができるんだよ~」
林檎「・・・土の中にも細い管みたいな空間があって、そこを水が伝ってくるんですか?」
40「イエスでおじゃりま~す☆ ここのサイトにある動画を見るとイメージしやすいかもね~☆」
毛細管現象についてすごくわかりやすい動画のあるサイト
テイボー株式会社さま
『毛細管現象とは?』
林檎「あ、これすごくわかりやすいです」
40「原理はよくわかんないけど~、こういう感じで上がってくるというね!」
林檎「それで、地表に塩が溜まってしまって・・・」
40「うん。地面に塩が溜まると、植物は枯れちゃいます。塩に強い作物もあるんだけど、それだけじゃ、増えすぎたメソポタミアの人々を支えることはできなかったんだね」
林檎「そして、人々は土地を捨て、文明は滅び去った・・・」
40「これは数千年前のお話だけど、今も同じような塩害は世界各地で発生し続けてるんだよね。エジプトでもアメリカでも、大規模な灌漑による砂漠化は深刻です。日本だって、この先どうなるかわかりません。地球規模の環境の変化に柔軟に対応して行かないと、今の文明も案外あっさり滅んじゃうかもね~☆」
林檎「・・・先生」
40「ん~? どうしたの~?」
林檎「メソポタミアの人たちは、文明が滅ぶほど悪いことをしたんでしょうか? わたしたちみたいに原子力を使ったり石油を燃やしたりせずに、ただ素朴に農業をしていただけなのに・・・」
40「確かにそうだけどー、そもそも農業やること自体が環境破壊だしねー」
林檎「それは・・・そうかもしれませんけど・・・」
40「それに、大規模にやりすぎちゃったっていうのもあると思うんだよね~。少なくとも灌漑さえしなきゃ、あそこまで急激に砂漠化しなかったと思うよ~?」
林檎「どうすればよかったんでしょうか?」
40「どうなんだろうね~? 結局、メソポタミアの大地が支え切れないほどに人の数が増えてしまったってことだと思うんだけどね~」
林檎「みんなが先生みたいだったら、人口も増えずにすむんですけどね」
40「・・・」
林檎「先生」
40「どうしたの~?」
林檎「最後に、もう一つだけ教えてくれませんか?」
40「なにを~?」
林檎「先生って・・・何の教科の先生なんですか?」
40「ひ・み・ちゅ☆」
次回更新は10月24日の予定ですが
前日に雨が降ったりしたら更新しないかもしれません。
林檎「今日はわたしがブログを担当するのだけど・・・もう一人がまだ来ていません」
林檎「いったい、誰が来るのかしら・・・?」
ザッ ザッ ザッ
?「・・・」
林檎「ッ!? あ、あなたは・・・!?」
?「・・・」
林檎「だれ!? いったいだれなのっ!?」
?「・・・」グォォォ・・・
林檎「な・・・なに!? これは――っ!?」
?「アラフォーディメンション!!」
林檎「きゃぁぁぁ――――ッ!!」
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林檎「・・・うぅ・・・い、いったい何が・・・?」
?「木下さ~ん。だいじょうぶ~?」
林檎「!? あ、あなたは・・・あなたはわたしの担任・・・ベッキー先生!!」
40「そうだよ~! でゅへへへ~~♪ びっくりしたー?」
林檎「ベ・・・ベッキー先生、なぜあなたがここに・・・? ここはいったいどこなの・・・?」
40「メソポタミアだよ~」
林檎「メソ・・・え?」
40「いまわたしたちがいるのはー、紀元前2500年くらいのメソポタミアなんだよ~」
林檎「な、なんですって――――ッ!?」
40「先生の放ったアラフォーディメンションによって、木下さんは異次元に飛ばされてしまいました。今わたしたちは異次元の空間に存在しつつ、紀元前2500年のメソポタミアを見ているんだよー」
林檎「え? 異次げ・・・え? ・・・どうして?」
40「どうしてもこうしても、女子は40歳まで処女だとその熟れた女子力によって時空を超えることができるようになるんだよ~。常識だよ~」
林檎「そ、そんなことが・・・!?」
40「時をかける処女」(キリッ)
林檎「・・・」(イラッ)
40「そんなわけで今日はここ古代メソポタミアから、どうしてこの文明が滅んでしまったのかを探りたいと思いま~す☆」
『古代メソポタミア文明って?』
林檎「メソポタミア文明の・・・滅、亡?」
40「そうだよ~。このメソポタミア文明は紀元前9000年くらいに始まった人類最古の文明なんだけど、シュメール人っていう人たちが作ったのね~? ここはそのシュメール人さんの作った都市で『ウル』っていいます。今でいうイラクにある都市です。知ってる~?」
林檎「聞いたことはありますけど・・・」
40「そんで、ここはウルの繁華街で~す。メソポタミアの原宿みたいなところで~す。いっぱい人がいるよね~」
林檎「そうですね」
40「シュメール人さんを見て、何かわかることはなぁい?」
/彡イイノ彡三ニ-、_
/彡彡ノノ彡彡彡トミミミミ、
ィ=〒 ニ!ニニニニニー-、ト,
|J|U |(_) |( _) |(__) |(⌒)fヘif|
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ノノiイ⌒|lf ニエエヽ ` 左=、/
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, 一i{ ヘ {lj|li|l|lト, ,ililili \ヽ>、二二ヽ
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: : : : : : : : : : :X: }i∧又ー─一ヌ∧{: :へゝ┬ゞ 人: : \
※通りすがりのシュメール人男性
林檎「まず、男の人は髭が生えていますね。それに、何かの肉を食べているけど・・・あれは何の肉なのかしら?」
40「・・・子供・・・」(ボソッ)
林檎「え?」
40「あれは羊の子供の肉だよ~☆」
林檎「羊・・・そういえば、着ている服もウールっぽいわね」
40「そうそう。つまりメソポタミア文明では、すでに羊を家畜として利用する方法が確立していたっていうことだよね~」
林檎「畜産が行われていたということですか?」
40「そうだね~。羊だけじゃなくって、ヤギさんや牛さんも育てていたんだよ~。お肉だけじゃなくってミルクも飲んでたんだね~」
林檎「そこまで進んでいたなんて・・・」
40「ところで木下さん、畜産をするうえで必要なモノって何だと思う~?」
林檎「動物と・・・餌、ですか?」
40「すご~い! 大正解だよ~! このあたりはもともと雨が降らない所だから、草もあんまり生えないんだよね~。だから放し飼いにするだけじゃ家畜は育たなくて、ちゃんと餌を作ってあげなくっちゃいけません。その餌が何だか、わかる~?」
林檎「家畜の餌・・・牧草? とか?」
40「そうそう。でも、それだけじゃないんだよ~」
林檎「?」
40「あそこにヒントがあります」
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※仕事上がりのシュメール人の皆さん
林檎「あれは・・・ビール?」
40「そうだよ~。メソポタミアの人たちはビールが大好きだったんだよ~。ちなみに先生も大好きで、毎朝飲んでから学校に行ってま~す☆」
林檎「あれがヒント・・・あっ!」
40「わかった~?」
林檎「麦、です・・・か?」
40「ぴんぽ~ん♪ メソポタミアは麦の大産地なんだよ~。だから牧草だけじゃなくって、麦も家畜の餌にできたんだよね~。麦畑を使って、畑作と一緒に畜産もする。これを混合農業(こんごう・のうぎょう)って言います」
林檎「家畜も畑で飼ってるんですか?」
40「そうだね~。そうすれば、牛を使って畑をどんどん耕せるし、動物のウンコが肥料になるでしょ~? 家畜を飼うスペースは休ませてる麦畑でいいし、牧草が足りなければ麦をあげればいいし、管理するにも便利だしで、とっても効率がいいんだよ~」
林檎「よくできてるんですね・・・」
40「それもこれも、メチャメチャ麦が採れるからなんだけどね~。1粒植えるとMAXで80粒くらいできたんだって~」
林檎「それって多いんですか?」
40「19世紀ヨーロッパだと5粒くらいで、現代のアメリカでも20粒くらいだからね~。パないよね~」
林檎「それは・・・パないですね。それだけ採れれば動物にあげようって気にもなるかも・・・」
40「このめがっさすごい麦の収穫量が、メソポタミア文明の原動力になったんだよ~」
林檎「メソポタミアの文明を支えているのは麦・・・つまり、畑作農業?」
40「そうなんだよ~! そしてその農業を支えているのが、灌漑(かんがい)っていう技術なんだよ~!」
林檎「かん・・・がい?」
40「知ってる?」
林檎「言葉は聞いたことがありますけど・・・水を引く技術? でした?」
40「じゃあ、実際に見に行ってみようか~。えーい☆」
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林檎「えっ!? こ、ここはどこ? っていうか、今なにを・・・?」
40「テレポーテーションだよ~。心の翼で時空を跳んだんだよ~」
林檎「そんな芸当まで・・・」
『灌漑 ~破滅へのトリガー~』
40「ここはウル近郊の畑です。どう?」
林檎「すごいです・・・水路とかしっかり作ってあって、学校の農場と比べても、ぜんぜん劣ってない・・・」
40「このあたりはあんまり雨が降らないんだけど、遙かなるチグリス・ユーフラテス川の下流で、いっぱい洪水が起こるのね? 毎年ノアの大洪水なのね? そうやっていっぱい流れてきた水を溜池にためておいて、その水を水路を使って畑に分配するシステムが完成してるんだよね~」
林檎「それが灌漑ですか?」
40「か・ん・が・い☆」
林檎「・・・」(イラッ)
40「でも、この灌漑こそがメソポタミア文明を滅ぼしてしまったんだよ~」
林檎「え!? でも、この灌漑があるからこそ、メソポタミアは栄えているんでしょう? それがどうして滅亡の原因になるんですか?」
40「じゃあ、もうちょっと先の時代を見てみようか。えーい☆」
~ だいたい300年後 ~
40「どうかな~? これがさっきと同じ畑なんだけど~?」
林檎「こ、これは・・・土がカサカサにひび割れて、白い粉を吹いてるわ・・・・・・まるでベッキー先生の肌のように!!」
40「・・・・・・」
林檎「ああ・・・どうしてこんなことに・・・? この地肌に吹き出ている白いものは・・・?」
40「それは集積塩。つまりお塩だね~」
林檎「・・・塩?」
40「そう。これこそがメソポタミアを滅ぼしてしまった真の原因・・・大規模な灌漑によってもたらされた塩類集積。つまり『塩害』だよ~」
林檎「え? でも海の水を使ってるわけでもないのに、どうして塩が吹き出るんですか?」
40「灌漑をすることによって、地下から汲み上げられてくるんだよー」
林檎「さっぱり意味がわからないんですが・・・」
40「う~ん、先生も難しすぎて説明できる自信はないんだよね~。だから丸投げしちゃいます!」
林檎「え?」
40「下のサイトを見てください☆」
塩類集積について非常にわかりやすい説明をしてくれるサイト
鳥取大学乾燥地研究センターさま
『砂漠化の原因って?』
林檎「乾燥地研究センターなんてあるんだ・・・さすが鳥取・・・砂丘の国・・・」
40「どう? わかりやすいでしょ~?」
林檎「そうですね。要するに、灌漑によって畑に入れた水が、地下にある塩を含んだ水を地表まで吸い上げてしまうということですよね?」
40「そうだね~」
林檎「でも、どうして地下にある水を吸い上げることができるのかが、よくわからないんですけど。『毛細管現象』でそうなるって書いてありますけど、これはどういうものなんですか?」
40「この原理を説明することは、とっっっても難しいんだよ~。だから感覚として理解してほしいんだけど、身近な所で説明すると、植物が根っこから水を吸い上げる力もこの原理を使ってるんだね~」
林檎「・・・」
40「他にも、マジックペンのペン先とかね。要するに、繊維みたいに細い管を伝うことによって、重力に逆らうことができるんだよ~」
林檎「・・・土の中にも細い管みたいな空間があって、そこを水が伝ってくるんですか?」
40「イエスでおじゃりま~す☆ ここのサイトにある動画を見るとイメージしやすいかもね~☆」
毛細管現象についてすごくわかりやすい動画のあるサイト
テイボー株式会社さま
『毛細管現象とは?』
林檎「あ、これすごくわかりやすいです」
40「原理はよくわかんないけど~、こういう感じで上がってくるというね!」
林檎「それで、地表に塩が溜まってしまって・・・」
40「うん。地面に塩が溜まると、植物は枯れちゃいます。塩に強い作物もあるんだけど、それだけじゃ、増えすぎたメソポタミアの人々を支えることはできなかったんだね」
林檎「そして、人々は土地を捨て、文明は滅び去った・・・」
40「これは数千年前のお話だけど、今も同じような塩害は世界各地で発生し続けてるんだよね。エジプトでもアメリカでも、大規模な灌漑による砂漠化は深刻です。日本だって、この先どうなるかわかりません。地球規模の環境の変化に柔軟に対応して行かないと、今の文明も案外あっさり滅んじゃうかもね~☆」
林檎「・・・先生」
40「ん~? どうしたの~?」
林檎「メソポタミアの人たちは、文明が滅ぶほど悪いことをしたんでしょうか? わたしたちみたいに原子力を使ったり石油を燃やしたりせずに、ただ素朴に農業をしていただけなのに・・・」
40「確かにそうだけどー、そもそも農業やること自体が環境破壊だしねー」
林檎「それは・・・そうかもしれませんけど・・・」
40「それに、大規模にやりすぎちゃったっていうのもあると思うんだよね~。少なくとも灌漑さえしなきゃ、あそこまで急激に砂漠化しなかったと思うよ~?」
林檎「どうすればよかったんでしょうか?」
40「どうなんだろうね~? 結局、メソポタミアの大地が支え切れないほどに人の数が増えてしまったってことだと思うんだけどね~」
林檎「みんなが先生みたいだったら、人口も増えずにすむんですけどね」
40「・・・」
林檎「先生」
40「どうしたの~?」
林檎「最後に、もう一つだけ教えてくれませんか?」
40「なにを~?」
林檎「先生って・・・何の教科の先生なんですか?」
40「ひ・み・ちゅ☆」
次回更新は10月24日の予定ですが
前日に雨が降ったりしたら更新しないかもしれません。
by thurinus
| 2011-10-10 20:00
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